木質繊維断熱材がスゴイ理由-まるでログハウス?!-
こんにちは。デザインHIRAYAのシンクホームです。
家づくりを考えるにあたり、どんな家にしたいと思いますか?
家事がラクな家…デザインの良い家…性能の良い家…
皆さん様々な想いを持って、家づくりを始めます。
その中で、「心地よさ」についても考えてみませんか?
「心地よさ」とは…
高気密高断熱の高性能住宅のことだけを考えれば良いわけではありません。
例えば…室温・湿度ともに快適な状態の空間…
その空間の壁や天井が全てコンクリートで出来ていたとすれば…
それは果たして「心地よい空間」と言えるでしょうか?
その空間が、森や木々を感じられる自然の中であったら?
私たちシンクホームでは、自然素材を使った家づくりをご提案しております。
素材にこだわった家にすることで、性能の数値上のことだけでは感じることのできない、本当の「心地よさ」を感じることができると考えています。
そして、その素材へのこだわりは断熱材選びにも及びます。
私たちは、主に羊毛を使った断熱材をご提案しております。
十二分の断熱性能を持ちながら、調湿性能やVOCホルムアルデヒドの低減、空気の清浄効果など、目に見えないことですが、快適な空間づくりのための大きな役割が期待できるからです。
そして、最近では木質繊維の断熱材も推奨しております。
今回は、羊毛断熱材など自然素材に期待できる効果から、木質繊維断熱材についてのお話です。
家づくりで性能を考える際、数値にばかり目がいってしまうかと思いますが、数値だけでは分からない「心地よさ」というものがあります。
快適なお家であるための本当の「心地よさ」について、考え方の参考になるお話です。
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壁紙にはビニールクロスを選ぶ?
そもそも、なぜ自然素材にこだわるのか?
かつての高度経済成長期から住宅の需要は爆発的に増えて、そして時代の進歩により様々な建築資材が誕生していきました。
化学的な加工を施された工業製品です。とても便利で、多く流通していきました。
しかし、そうした工業製品にはホルムアルデヒドなどの有害な物質が含まれています。
そして、多く流通している断熱材であるグラスウールは湿気に弱く、壁の中、壁内結露によってカビが発生するということも起こりました。
そうした有害物質やカビなどが原因となり、シックハウス症候群などの健康被害が出ることになったのです。
シックハウス症候群が悪化すると化学物質過敏症となり、広く世の中に流通している化学物質全般にアレルギー反応がでるようになってしまいます。
現在ではF☆☆☆☆(エフ・フォースター)と言って、使用制限の基準をクリアした低ホルムアルデヒド建材が広く流通し使用されています。
また、湿気に弱いグラスウールも、透湿性のあるシートを併せて使用することで壁内結露への対策も取られるようになりました。
それでも、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドが使われているのは事実です。
そして、原因として判明している化学物質は法律で規制されていますが、毒性があるのかハッキリしていない化学物質については全く法規制されていません。つまり、毒性があるかもしれない化学物質が、当たり前に使用されています。
さらに、壁内結露についても絶対に安心というわけではありません。
そもそも、壁内環境を快適に保つために必要なものは何でしょうか?
それは湿気を逃がす「通気性の良さ」です。
そこで一つ考えてみてください。
当たり前に壁紙に使われているビニールクロスには「通気性」があるでしょうか?
もちろん、ありません。ビニールですので湿気を逃がす「透湿性」もありません。
壁の室内側には、そんなビニールクロスが全面に貼られているのが一般的です。
そして、そのクロスの接着剤には基準値内ではありますがホルムアルデヒドが含まれています。
自然素材のメリットとは?
自然素材の家で思いつく代表的なものと言えば、漆喰の塗り壁でしょうか?
漆喰は消石灰が主原料です。消石灰とは石灰石に水を加えたもので、元々はサンゴ礁からできています。
湿度を整える調湿性能と消臭効果などが期待できます。
他にも珪藻土なども有名でしょうか?
珪藻土にも調湿性能があり、無数の細かな孔によってニオイやホルムアルデヒドなどの化学物質も吸着・除去します。
調湿性能…
つまり、自然素材は呼吸をしているということです。
さらには自然由来のため、ホルムアルデヒドなどのシックハウス症候群の原因物質も使われていません。
また先ほど挙げた例は塗り壁材ですが、珪藻土壁紙など、自然素材の壁紙も流通しており、接着剤も自然由来の成分でできたものもあります。
そして考えたい断熱材のこと
断熱材でもっとも多く流通しているのは「グラスウール」で、次いで「ウレタンフォーム」となります。
どちらも高い断熱性能を持ち、「ウレタンフォームの吹付け」であれば建物の気密性もとても高まります。
まさに、高気密高断熱の高性能住宅です。
それでは、シンクホームで標準採用している「羊毛断熱材」はどうなのかと言うと、数値上では「ウレタンフォーム」に劣りますが、「グラスウール」とほぼ変わらない性能です。
気密性についても、やわらかな羊毛を壁に敷き詰めていくため、十分な気密性を確保できます。
そして、羊毛でできているため自然素材です。
調湿性能、ニオイや化学物質などを吸着・除去することによる空気の清浄効果が、「心地のよさ」に大きく影響します。
「グラスウール」や「ウレタンフォーム」は、ほとんどの住宅で使われている断熱材です。
もう一度、しっかりとお伝えしたいことがあります。
なぜ、そこまで自然素材にこだわるのか?
F☆☆☆☆建材の事実
先ほどもお伝えしましたが、F☆☆☆☆(エフ・フォースター)の安全な建材であっても、ホルムアルデヒドは含まれています。
そして、少しずつ揮発して放出していきます。
最近は、高気密高断熱の高性能住宅は当たり前になってきました。
気密性の高い住宅ということは、すき間が少ないということ…つまり少しずつ放出されていくホルムアルデヒドの逃げ場が少ないということです。
そのために、建築基準法では換気の基準も設けられていますが…
そして、ビニールクロスはもちろん、グラスウールやウレタンフォームなどには湿度を整えたり、消臭の効果もありません。
新築の匂いってイメージできますか?
あれって実は、接着剤の匂いなんです。
本棚などを組み立てる時にも、同じ匂いがしませんか?
あれも、集成材などに使われている接着剤の匂いで、同じです。
自然素材でできた「呼吸する壁」
新築の匂いの話をしましたが、私たちシンクホームの家でも、そういった接着剤などを全く使っていないわけではありません。
それは、コストなど様々なことを考えると完全に排除するのは難しいからです。
要はバランスです。
便利な建材も使いながら、調湿や消臭など付加価値のある自然由来の素材を使うことによって「心地の良さを整える」ことが大切であると考えます。
私たちの家づくりでは、壁紙にはコットン壁紙を標準採用しています。
綿が主原料であり、イメージとしては紙に近く、ビニールクロスとは違い「通気性・調湿性」があります。
そして、壁の中には「羊毛の断熱材」の他、耐震性を高めるための耐力壁には消石灰や珪藻土などを原料としたボード状の建材を使用しています。
接着剤など、化学物質を含んだ建材を使用しますが…
壁材に使われた素材のチカラを活かし、調湿・消臭し、化学物質も除去・低減します。
そのためシンクホームの家では“新築の匂い”がしません。
柱や梁、無垢の床など木をふんだんに使った家のため、木の匂い、木のぬくもりに囲まれた家となります。
そして、築後数年経っても、生活臭などがせずに、木の匂いが変わらず続きます。
壁や床に天井、柱に至るまで、家全体が「呼吸する」ことで「心地よさ」が続くからです。
数字で示すことができるわけではないので、なかなか伝わりづらい話ではありますが、事実、以前新築されたお客様で「新築の匂いが苦手ですが、シンクホームの家の見学会ではその匂いがしなかった。だから決めました。」というお客様がいらっしゃいました。
実際に、完成見学会などにご参加いただければご体感いただけます。
「木質繊維断熱材」はログハウス的な暮らし?
はじめにお話した通り、最近では「羊毛断熱材」の他に「木質繊維断熱材」をご提案しております。
「木質繊維断熱材」とは木を細かく繊維化し、固めた断熱材です。
木繊維のため、やはり「調湿性能」などの効果が期待できます。
そして、特質すべきは「比熱容量」が高く、「熱拡散率」が低いことです。
ログハウスでの暮らしを想像してみてください。
夏には涼しく快適で、冬にもあたたかく過ごせる…
なぜ年間を通して快適なのかと言うと…
ログハウスはログ(丸太)を積み上げ組み合わせた家で、その丸太材そのものが断熱材の役割を果たしているからです。
木本来が持つ性質で、快適な室内環境が保たれています。
それは、先ほどもお話した木が呼吸するために起こる「調湿性能」の他、
「比熱容量」「熱拡散率」が関係しています。
「比熱容量」とは?
熱を蓄える力です。「比熱容量」が高いと、一度暖まると冷めにくく、逆に冷たくなると暖まりにくいということです。
「比熱容量」が高い断熱材であれば、夏場の高温にさらされ続けても、断熱材自体が熱を蓄え、室内への影響を抑えてくれます。
イメージとしては、「比熱容量」の高さで大きさに違いのある器があったとして、そこに外気温による「熱」を液体に見立てて注ぎ入れるとします。
器が大きければ、嵩はなかなか増えません。この嵩が室温になります。
断熱性能は「熱伝導率」で決まるんじゃないの?
もちろん「熱伝導率」は大切です。
「断熱等性能等級」などにも関わってくる数値です。
主だった断熱材別の「熱伝導率」は下表の通りになります。
「熱伝導率」とは、熱が伝わるスピードです。
数値が低ければ、スピードが遅くなります。
断熱性能的に言えば、夏場の日射熱によるエネルギーが室内に伝わりにくくしています。
「それじゃあ、やっぱり木質繊維よりもウレタンフォームの方が良いじゃん!」
と、思うかもしれませんが…
先ほどのイメージ図をもう一度見ていただきたいのですが…
「熱伝導率」とは分かりやすく言えば、この液体に見立てた熱を注ぎ入れるスピードのことです。
スピードがどれだけゆっくりでも、器が大きくなければすぐに嵩は増してしまいますよね?
要は、「バランスが大切」ということです。
「比熱容量」と「熱伝導率」に関係によって導きだされるのが、「熱拡散率」と言います。
木本来のチカラ・最大の魅力「熱拡散率」
改めて表で確認してみましょう。
木質繊維断熱材は…
一般的なグラスウールと比べて「比熱容量」は約2.6倍…
そして、「熱拡散率」で見ると、約10倍も違いがあります。
熱を伝えるスピードだけではなく、どれだけその熱の移動を断熱材の中に留めておくことができるのか、ということが大切だということです。
また、夏場の日射熱による影響だけではなく、冬場の室内の暖かさも、外に逃がしにくくすることができますので、ご安心ください。
そして、何度もお伝えしておりますが、調湿の効果もあります。
木本来の湿度を整える呼吸によって、室温だけではなく湿度までも快適な状態を保つことが期待できます。
「木質繊維断熱材」の付加価値をお分かりいただけましたでしょうか?
床、柱、梁だけでなく、壁の中にいたるまで…
木に囲まれた、森の中のログハウスのような心地よさをご体感いただける家となります。
「心地を整える」家づくり
いかがでしたでしょうか?
「木質繊維断熱材」の良さをお伝えしながら、自然素材にこだわることへのメリットをお話させていただきました。
世間一般で言う「高性能住宅」では、「比熱容量」や「熱拡散率」のことまでは謳われておりません。
しかし、「木質繊維断熱材」はヨーロッパでは以前から注目されており、現在では断熱材全体のシェアの10%が「木質繊維断熱材」に切り替わっているそうです。
「性能等級」などの数値上のことだけではなく、「温度・湿度・空気」など、人が本当に「心地よい」と思える空間づくりにすることが、真に快適と言えるのではないでしょうか?
もちろん、自然素材はコストが高くなりがちではありますが、先ほどの「熱伝導率」と「比熱容量」の関係と同じように、大切なことはバランスです。
必要な箇所には「木質繊維断熱材」や「無垢の床」など自然由来の建材を使い、抑えられるべき箇所には便利な建材を使う、ということです。
そして、素材とコストのバランス良く、安心のできる、「心地の良さを整えた家づくり」を目指しましょう。