星を眺めながら眠りにつく家 casa amare ある家族の物語1 カーサアマーレ10th anniversary 2021ぐんま
ご主人が30代半ばにして建てた「カーサアマーレ」の物語。
3x6間(5.46x10.92m)は、どんな家族構成でも暮らしやすい
といわれる標準的な大きさ。
建てる場所を選ばず、そこで暮らす人数や住まい方の変化に対応しやすいので
その時代、時代に応じた豊かな生活設計が可能だ。
星を眺めながら眠りにつく家
二階には家族三人が川の字で寝られる広めの寝室と、奥さんの家事スペースや
子どもの遊び場ともなるフリースペースがある。二階の窓は天窓となるため、
屋根裏部屋のような風上を持つ。
子どもを寝かしつけていたのに気がつけば、一緒に子どもも眠っていた。
子どもの様子を見にきたのであろう妻も、隣で眠っていた。
小さな寝息がふたつ、互い違いに聞こえてくる。
こうして、我が家の夜は早々に幕を閉じる。
実は家族で川の字になって寝ることを想定して、二階の間取りを考えた。
寝室につながるフリースペースでは子どもを寝かしつけたあと、
子どもの気配を感じながら家事ができる。
もちろん、昼間はそこが子どもの遊び場になる。
オーディオを置いているので、自分の趣味スペースといえなくもない。
とにかく、何かと重宝するスペースであることは間違いない。
建ってまだ間もないからなのか、家中を木の香りが満たしている。
木の香りは深い眠りを誘うと何かで聞いたことがあるけど、そのせいなのか。
それとも仕事と子育てに追われ、身体が疲れているからなのだろうか。
ときどき天窓の向こうに見える星空が目に入り、見入ってしまうこともある。
窓枠が幾千の星を切り取って描き出す夜もあれば、雲間から星一粒が顔を覗かせ、
銀色のしずくが一滴だけ部屋にしたたるような夜もあった。
静かな夜だ。
星を眺めていたら、少し目が覚めてしまった。起き上がり、隣のフリースペースにある
アンプの電源を入れ、レコードに針を落とす。ベッドの気配を伺いながら、ボリューム
のつまみをぎりぎりまで絞った。
規則正しい寝息がふたつ聞こえた。ふたりを起こさないよう、そっとベッドに潜りこむ。
目を閉じると、アコースティックギターのフィンガーノイズが耳に残った。
数年前、NASA設立50周年を記念して、この楽曲が北極星へと発信された。
ジョン・レノンが「across the universe」と、ささやくように歌っている。アクロス・
ザ・ユニバース…日本語にはどう訳せばいいのろう。
そんなことを考えているうちに、睡魔がやってきた。